会社設立時の融資に新創業融資を使うには?活用方法をご紹介
自己資金が無い起業家にはどのように資金を集めるのか、頭の痛い問題です。
資金を集めるには、通常は金融機関として銀行に融資をお願いします。しかしながら、創業するということは、まだ会社としての実績がないので、民間の金融機関に融資の許可を得るのは難しい問題でしょう。
このような場合には、公的金融機関を使って融資をしてもらうのが、民間の金融機関から融資を得るよりも簡単なので、新しく会社を創業する時にはおすすめです。ここでは、起業や開業の融資に新創業融資制度という公的な融資制度を活用する方法を紹介します。
起業や開業の際に日本政策金融公庫を使うには?
日本政策金融公庫は2008年10月1日に設立されました。この公庫は起業・開業する起業家を補助するための財務省が所管する特殊法人です。日本政策金融公庫はいくつかある公的金融機関の中でも、中小企業や新規起業・開業者に対して手厚い融資をしてくれます。
その中でも日本政策金融公庫には「新規開業資金」「女性、若者/シニア起業家支援資金」の2つが開業者にぴったりの融資の制度としてあります。それぞれの対象や融資可能上限額をみていきましょう。
対象者 | 融資可能な上限額 | |
新規開業資金 | 新規事業者または新規事業を開始して7年以内 | 7,200万円まで(そのうち運転資金は4,800万円まで) |
女性、若者/シニア起業家支援資金 | 女性または35歳未満、55歳以上の人のうち、新規事業者または新規事業を開始して7年以内 | 7,200万円まで(そのうち運転資金は4,800万円まで) |
このように、条件は異なりますが、2つの制度ともに開業者や起業・開業してすぐの人向けの融資制度です。ここからは、2つの制度についてそれぞれご紹介していきます。
新規開業資金
この資金融資制度は、新規事業者または新規事業を開始して7年以内の人向けの資金融資制度です。融資可能な上限は7,200万円までで、その中でも運転資金は4,800万円までです。ですから、その残りとなる2,400万円については設備資金としてのお金として、運転資金に利用することはできません。このことは「女性、若者/シニア起業家支援資金」でも同じです。
返済する期間は設備資金に関しては20年以内、運転資金に関しては7年以内となっています。また、延長期間も設定されており、運転資金の返済に関しては元本を2年まで、設備資金の返済に関しては元本を2年まで、延長することができます。
それとは別に、融資を受ける際には、基本的に担保となるものや、保証人の存在が必要です。
女性、若者/シニア起業家支援資金
女性、若者/シニア起業家支援資金は女性または男女合わせて35歳未満、55歳以上のうち、新規事業者または新規事業を開始して7年以内の人向けの資金融資です。
内容はほとんど新規開業資金と同じです。この資金は対象となる女性であることや対象年齢に当てはまることができれば、融資を受けることが可能なので、比較的簡単に起業ができます。運転資金や設備資金のどちらも、そして返済期間や延長のための内容も新規開業資金と同じです。
それとは別に、融資を受ける際には、基本的に担保となるものや、第三者の保証人の存在についても、新規開業資金と同じです。
このように、新規開業資金と女性、若者/シニア起業家支援資金は民間の金融機関と比較して資金を受けやすいです。対象者の制限が多いように見えますが、起業・開業時の融資としては、利用しやすい資金です。しかしながら、担保となるものや、第三者の保証人が必要であることは難しいことの一部です。ここをクリアするために、新創業融資資金の特例措置をご紹介します。
新創業融資制度とは何か?
では、新創業融資制度について紹介していきます。
新創業融資制度の改正が2014年3月1日に新しくできた制度が新創業融資制度です。創業・開業をしてから二期を経ていない人への担保と第三者の保証人が必要ではない制度です。
新創業融資制度の短所と長所
実は、新創業融資制度には短所・長所があります。この短所と長所をしっかりと把握して、から自分の状況と合わせて融資を受けるかどうか判断してください。
新創業融資制度の短所
・通常融資と比較して年間の金利が高くなる
短所としては、担保・保証人不要である新創業融資制度は他の日本政策金融公庫の制度と比較して金利が高くなります。その上、融資の上限も3,000円万円まで、そのうち運転資金は1,500万円までが他の融資よりも低くなります。
・融資の上限は3,000万円まで(そのうち運転資金1,500万円まで)
そのほかに、新創業融資制度は、新規開業資金や女性、若者/シニア起業家支援資金の条件と、さらに、創業資金の全てのうち10分の1以上の自己資金が必要になります。注意が必要です。
新創業融資制度の長所
・担保となるものや保証、連帯保証人が必要ない
新規起業・開業者が融資資金を受ける上で一番難しいのが、担保や第三者の保証人を用意することです。しかし、新創業融資制度には担保や第三者の保証人が必要ありません。また、法人に対して融資を行うので、起業・開業者本人の個人的な保証も不要なので、有利な条件での資金調達ができます。
・融資が実行されるまでの期間が短い
この制度は、融資が実行されて資金が振り込まれるまでが短く、1ヶ月半ほどです。通常の融資は審査に2か月から3か月かかることがほとんどなので、とても短い時間で融資が実行されます。創業・開業時には、急いでたくさんの資金を用意しなければならないことも多いので、大きな長所になります。
起業・開業時の融資制度を利用する際の注意するポイント
起業・開業する時には多くの資金が必要となる業種があります。こうした場合の起業・開業にはどのくらいの額の融資を受けることができるのかが大事な点です。しかし、融資は借金ですから、返済していかなければいけません。起業しても、返済していける、返済計画をきちんと立てておく必要があります。それでは、起業や開業など会社を設立する時の注意するポイントを3つ紹介します。
融資を受けるのは審査に通過してから
地方自治体の創業支援や金融機関の融資はもちろん、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」には審査があり、審査を通過しなければ融資を受けることはできません。
審査する内容やその基準について情報を得ることは難しいですが、募集の内容などからどのようなことが審査に必要なのか想像することが可能です。また、自己の資金を用意するだけではなく、創業する際の計画や、返済計画などもしっかりと作られているかが、大事であることが公式にも言われています。きちんとした計画書を作り上げられているかどうかが審査を通過するには重要な事項です。
融資の審査を通過するために、募集の要件や公式サイトでの詳細な情報をしっかりしておく必要があります。日本政策金融公庫は創業・開業を助けるために、専門家へ相談でき、創業計画書の作成方法や準備の方法を公式サイトで案内しています。このような補助もたくさん活用した方がよいでしょう。
融資が希望額までしてもらえないことがある
融資を申請する時には、融資の希望金額も申請します。しかし、希望した額がそのまま融資資金としてもらえるわけではありません。融資機関の審査内容によって、希望額をそのまま受けられない場合があります。融資申請しても、希望額にいかない場合があることも認識して注意しましょう。
起業・開業する時に自己資金を用意しておくことが、希望の融資金額が通らなかった場合に必要です。起業・開業をサポートするのが融資制度ですが、融資だけに頼らないよう、審査に通らなかったときのことも考えて準備しておきましょう。
返済が必要なので、事業を計画通りにできないことがある
融資資金を利用したあとには返済計画を元にお金を返していく必要があります。融資は元本と利息を返していかなければならない借金と同じです。
起業・開業した当初は、事業をうまく回していくために、お金の支払いが多くなるでしょう。しかし、返済する金額や返済する期間によって、経営に影響を受けて、事業をうまく回していけないこともあるかもしれません。融資資金をどれだけ多くもらえるかだけではなく、毎月無理のない範囲で返せるかどうかをきちんと練り上げて計画を立てることが重要です。
資金の調達には助成金や補助金を使う方法があります
多くの経営者が最も大きな問題としているのが、起業時の資金調達です。日本政策金融公庫だけではなく、他の資金調達の方法として、行政が行う助成金や補助金などの制度もあるので、検討してみてください。
国や地方自治体の政策として、事業者や個人事業主を手助けしてくれるのが、助成金や補助金です。助成金や補助金はある事柄に特化した経費の一部を国や地方自治体が給付してくれる制度です。ほとんどの場合は返済をしないで良い場合が多く、融資とは違います。
補助金は公募制であることが多く、また、給付してもらえる人に制限が設けられていることもあります。補助金を給付してもらうのは難しいかもしれませんが、助成金には条件が合えば全ての開業者が受給できるものがあります。国の助成金制度では雇用関係のものが、比較的条件がわかりやすいです。事業の内容によって助成金や補助金を使えるかどうか、調べてみてください。
自己資金の無い場合には、融資制度を活用してみましょう
ここでは、起業・開業時におすすめする日本政策金融公庫の開業融資制度や新創業融資制度などの特例、融資を受けるときの短所・長所と、融資以外の方法について紹介しました。
起業・開業には、日本政策金融公庫の創業支援制度以外にも、多くの支援制度があります。融資制度や助成金、補助金などを上手に利用して、起業してすぐの頃の資金調達を行い
事業をスムーズにできるようにしていきましょう。