日本政策金融公庫の創業融資|審査ポイントや落ちる理由とは?
国庫金を原資とする日本政策金融公庫は、民間金融機関が行う金融を補完する役割を担っています。そのため、民間金融機関が提供する創業融資とは異なる点が多いです。この記事では、日本政策金融公庫が提供する創業融資の特徴や審査ポイントを解説します。創業融資の申込み先を悩んでいる場合や、融資確率を上げたい場合などの参考にしてください。また、審査に落ちる理由や対処法もあわせて紹介しています。創業融資が通らずに悩んでいる人は、紹介する対処法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
日本政策金融公庫の創業融資とは
日本政策金融公庫の提供する創業融資は複数ありますが、一般的な創業融資は国民生活事業の「新規開業資金」です。ほかの金融機関が提供する創業融資との違いとして、金利の低さと返済期間が長い点があげられます。また、小規模事業主や個人事業主に対しても前向きに融資を行っているため、民間金融機関よりも比較的融資が受けやすいといえるでしょう。
以下は、日本政策金融公庫の創業融資「新規開業資金」の概要です。(2023年3月時点)
融資対象 | 小規模事業者、個人事業主などで以下のいずれかに該当する者 ・新たに事業を始める者 ・事業開始後、おおむね7以内の事業主 |
融資の使い道 | ・新たな事業を始めるための設備資金および運転資金 ・事業開始後に必要とする、設備資金および運転資金 |
融資限度額 | 7,200万円(内、運転資金4,800万円) |
返済期間 | ・設備資金:20年以内(内、据置期間2年以内) ・運転資金:7年以内(内、据置期間2年以内) |
基準利率 | 担保提供ありの場合、年利0.98~2.55% (条件を満たすことで特別利率が適用される) |
必要な自己資金額 | 指定なし |
融資決定までの期間 | 平均3週間程度 |
ほかにも、女性・若者・シニアが申し込み可能な「新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)」や、廃業歴がある場合に申し込み可能な「新規開業資金(再挑戦支援関連)」、中小会計を適用する際に申し込み可能な「新規開業資金(中小企業経営力強化関連)」も創業融資に該当します。上記の「新規開業資金」よりも低い金利で融資を受けることが可能であるため、適用条件を確認するとよいでしょう。
日本政策金融公庫の創業融資の特徴
政府系金融機関のひとつである日本政策金融公庫は、地域の開業率を引き上げることで雇用機会を創出し、国内総生産(GDP)増加を目指しています。そのため、営利を事業目的としている民間金融機関の提供する創業融資とは異なる点も少なくありません。以下は日本政策金融公庫の創業融資の特徴であり、融資元を選ぶ際のポイントになる点です。
・融資契約時の金利が最後まで適用される、固定金利制
・返済期間は運転資金7年以内、設備資金20年以内と長い
・元金返済が発生しない据置期間を設定できる(2年以内)
・事業開始後、おおむね7年以内の事業主でも利用可能
・法人と個人など、事業形態が融資審査に影響を及ぼすことがない
・特定の条件を満たすことで、低金利である「特別利率」が適用される
・無担保、無保証人での融資を希望できる(新創業融資制度)
日本政策金融公庫の創業融資は、低金利であり固定金利であるため返済負担が少ないです。また、同時にほかの金融機関に融資の申込みを行うことが可能な「協調融資」も採用されています。融資成功率を上げたかったり、ひとつの金融機関からの融資では必要額に満たない恐れがあったりする場合は、協調融資の利用を検討することもひとつの手です。
併用できる融資制度
日本政策金融公庫の創業融資には、いくつか併用できる融資制度が用意されています。併用を希望する人の多い融資制度のひとつが「新創業融資制度」です。無担保・無保証人で融資を受けることができるため、上手く活用するとよいでしょう。以下は「新創業融資制度」の概要です。(2023年3月時点)
融資対象 | ・新たに事業を始める者 ・事業開始後の税務申告2期を終えていない者 |
融資の使い道 | ・新たな事業を始めるための設備資金および運転資金 ・事業開始後に必要とする、設備資金および運転資金 |
融資限度額 | 3,000万円(内、運転資金1,500万円) |
返済期間 | ・設備資金:20年以内(内、据置期間2年以内) ・運転資金:7年以内(内、据置期間2年以内) |
基準利率 | 年利2.23~3.20% |
必要な自己資金額 | 新たに事業を始める者、もしくは事業開始後の税務申告1期を終えていない者は、創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要(ほかに本要件を満たせる条件あり) |
融資決定までの期間 | 平均3週間程度 |
「新創業融資制度」は、事業経験のある業種と同じ事業を始める場合や、産業競争力強化法にて規定されている認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める場合に限り、自己資金が免除されます。自身の事業に適用されるかどうか判断に悩む際は、申込み前に窓口にて相談してみるとよいでしょう。
創業融資を申し込みする際の手順と流れ
日本政策金融公庫にて創業融資を申し込む場合、自身で手続きを行う方法と認定経営革新等支援機関に依頼する方法があります。認定経営革新等支援機関とは、国から認定を受けた税理士や弁護士などの専門家を指し、創業に関するアドバイスを依頼することが可能です。また、事業計画書の作成をサポートしてくれたり、場合によっては融資面談に同席してくれたりするケースもあります。以下は、自身で創業融資を申し込む際の手順です。
相談
基本的に、創業融資の申し込みを行う前に相談を行います。事前に相談しておくことで手続きがスムーズに行えたり、融資担当者からの具体的なアドバイスを受けたりすることが可能です。相談方法としては以下の2通りがあげられます。
・日本政策金融公庫「事業資金相談ダイヤル」にて電話相談
・オンラインもしくは支店窓口にて「予約相談」
創業融資は、個人事業主の場合は創業予定地を管轄する支店に申込みを行い、法人の場合は法人登記上の本店所在地を管轄する支店に申し込みを行います。そのため、オンラインもしくは支店窓口にて相談を行う際は、実際に申し込みを行う窓口を選択するとよいです。融資の申し込みを行う窓口にて相談することで、実際に融資審査を行う融資担当者が求める書類を揃えられたり、後日行われる面接での緊張を緩和させたりできるでしょう。
申込み
創業融資の申込み方法は該当する窓口への提出か郵送、もしくはインターネット申込みの2通りです。窓口へ提出したり郵送したりする場合は、創業予定地を管轄する支店もしくは法人登記上の本店所在地を管轄する支店を選択します。
また、申込み時にはいくつかの書類が必要です。提出する書類のなかには、日本政策金融公庫の指定する形式で作成しなければならないものがあります。相談時に入手しておくか、日本政策金融公庫のサイトからダウンロードして入手しましょう。以下は、創業融資「新規開業資金」を申し込む際に必要な提出書類の一部です。
必要書類 | 入手方法など | |
創業計画書 | 日本政策金融公庫より入手 | |
月別収支計画書 | 日本政策金融公庫より入手 | |
企業概要書 | 日本政策金融公庫より入手 | |
運転免許証またはパスポート | 本人確認ができるもの | |
預金通帳のコピー | 自己資金額を証明するもの | |
賃貸借契約書など | 創業地を証明するもの | |
法人の場合 | 履歴事項全部証明書または登記簿謄本 | 法務局 |
個人の場合 | 所得税の確定申告書および決済書 | ― |
ほかにも、事業によっては許認可や都道府県知事からの推薦書などが必要です。書類不備を防ぐためにも、申込み前の「相談」にて必要書類を確認しておくことをおすすめします。
面談
申込み後、日本政策金融公庫から面談の日時について連絡があります。面談の時間は1時間程度で、申込みから10日前後で行われることが多いです。面談では事業計画について質問されたり、事業が上手くいくと考える根拠や同業他社との差別化ポイントの説明を求められたりします。そのため、提出した書類とは別に事業計画についての具体的な資料などを用意しておくとよいです。
また、場合によっては、融資担当者が事務所や工場の視察を行うことがあります。服装やマナーに気をつけて、自身の事業について正しく答えられるように準備をしてから面談に挑みましょう。
融資審査
提出した書類や面談の受け答えをもとに融資審査が行われます。審査期間は2週間適度です。融資が通った場合は、借用証書をはじめとする契約に必要な書類が送付されます。必要事項を記入して返送することで、融資契約の完了です。
融資開始
日本政策金融公庫からの融資振込は、契約書類が日本政策金融公庫に届いてから1週間程度で行われます。同時に、返済予定に従った返済も開始されるため、遅延しないように注意しなければなりません。また、返済は月賦払いであり、返済方法は元金均等返済・元利均等返済・ステップ返済など複数あるため、融資申請前に返済方法を確認しておくとよいです。
日本政策金融公庫の創業融資の審査ポイントとは
日本政策金融公庫の創業融資の審査は、事業計画や面談などから得た情報をもとに総合的に判断されます。融資条件は、ほかの金融機関が設けている条件よりも緩い傾向にありますが、審査が甘いというわけではありません。融資審査で重視されるポイントをおさえ、しっかりと準備することで融資確率を上げましょう。
事業計画(創業計画)
事業計画は、日本政策金融公庫の指定フォーマットにて記載します。創業融資は、事業実績のない状態で融資を希望するため、事業計画の内容は融資審査の可否を大きく左右すると考えるとよいです。
事業計画書は客観的に見て妥当性のある内容でなければなりません。そのため、市場データや収益のシミュレーションをはじめとする数値での根拠を面談時に追加データとして提示して、説得力を高めることをおすすめします。もし、上手く事業計画がまとめられない場合は、以下を検討するとよいでしょう。
・認定経営革新等支援機関に、事業計画書作成のサポートを依頼する
・日本政策金融公庫の「創業前支援」にて無料相談する
また、融資後や開業後の経営計画もしっかりと立てておく必要があります。融資後の経営計画が曖昧だと、返済能力が見込めないと判断される可能性があるためです。融資の用途を明確にしたり根拠のある利益予想を立てたりして、具体的かつ矛盾のない資料を作成するようにします。
事業経験
創業融資の条件として定められていないものの、事業経験も審査ポイントのひとつであるといわれています。理由は、過去に定められていた融資条件のひとつに事業経験があったためです。必要な事業経験の年数は7年から5年に繰り下げられた後、条件から除外されましたが、安定した事業を行うためにも事業経験はあったほうがよいといえます。
もし事業経験がない場合は、ほかの経験と関連付けたり有能なパートナーを確保したりして、事業経験の乏しさをカバーできる根拠を明確化するようにしましょう。
自己資金額
日本政策金融公庫の一般的な創業融資である「新規開業資金」では、必要な自己資金額が明記されていません。とはいえ、自己資金額が不要であるわけでなく、開業後に資金繰りが安定しやすくなるといった理由から一定の自己資金額が必要であると考えられています。また、自己資金額は希望する融資額が多いほど必要であることが一般的です。
用意すべき自己資金額の目安には諸説ありますが、「日本政策金融公庫 総合研究所」が発表したデータでは創業資金総額の2割強が自己資金であるとの結果がでています。従って、創業に必要な総額の3割を目安に自己資金を用意しておくとよいです。
参考:日本政策金融公庫 総合研究所/2022年度新規開業実態調査
面談
日本政策金融公庫の創業融資では、事業計画のほかに面談も重視されます。質問には論理的に答えられるように結論から話したり、根拠を示せるように添付資料を用意したりすることを心がけるとよいでしょう。以下は、創業融資の面談にて聞かれることの多い質問です。
・創業理由
・創業前の経歴や職歴
・事業経験
・事業の見込み収益額と根拠
・自己資金額の調達方法
・同業他社との差別化ポイント
・事業で懸念している点や経営課題
また、面接で質問された内容にスムーズに答えられなかった内容や、担当者の反応が良くなかった事項をメモしておくことをおすすめします。メモした内容は、事業計画が甘い事項であると考えられるため、融資審査に落ちた際に改善するべきポイントとなったり、安定した事業を運営する際の参考になったりするでしょう。
日本政策金融公庫の創業融資の審査に落ちる理由
創業融資の審査に落ちた場合、審査が通らなかった理由を知ることはできません。そのため、問題点を改善したり審査落ちを防止したりするためにも、審査に落ちる原因を知っておくことが大切です。
自己資金額の不足、もしくは自己資金額が認められなかった
創業融資「新規開業資金」では、必要な自己資金額が明記されていません。そのため、自己資金額がゼロでも融資を受けられる可能性はあります。とはいえ、自己資金額が多いほど融資が受けやすいことには違いないため、自己資金額の不足も審査落ちする原因です。
また、用意した資金が自己資金額として認められなかったことを理由に、審査落ちした可能性も考えられます。たとえば、以下に該当する場合は自己資金として認められません。
・「見せ金」だと判断された場合
・入金履歴や出所が確認できないお金
・返済義務のある、金融機関や知人から借りたお金
・タンス預金をはじめとする、銀行に預けずに自宅で管理しているお金
とくに注意すべきは「見せ金」と判断され、自己資金として認められないケースです。見せ金とは、融資審査を通すために自己資金であると見せかけたお金であり、返済義務のあるお金などが該当します。日本政策金融公庫では、有効な自己資金であるかを判断するために、通帳の入出履歴を照らし合わせながら確認されるケースが多いです。
もし、出所が曖昧であったり証明できなかったりした場合、見せ金と判断されてしまう恐れがあるので、面談前に出所を証明できる書類などを用意しておくことをおすすめします。
事業計画(創業計画)が妥当性に欠けている
審査を行う融資担当者は、事業計画書や経営計画などを通して事業の成長性や収益性を判断します。そのため、事業計画が妥当性に欠けていたり漠然としていたりする場合、審査に落ちる可能性が高いです。具体性や根拠のある事業計画を作成することは、融資審査を通るうえでの最低条件だと考えましょう。
また、創業予定地が未定の場合も創業融資の審査に落ちる原因となりやすいです。理由として、売上予測や経費予測をはじめとする収支計画を立てるためには創業予定地が不可欠である点や、正確な資金計画が立てられない点があげられます。日本政策金融公庫も創業地を定めてからの審査申し込みを推奨しているため、創業予定地を確定させてから創業融資を申し込むとよいでしょう。
必要な許認可などが揃っていない
許認可を取得していない場合も審査に落ちる可能性があります。なぜなら、必要な許認可を取得せずに事業を開始した際、罰金に科されたり営業停止を命じられたりするため、返済が滞る恐れがあるからです。許認可を揃えることは、返済能力の証明と同意であると考えるとよいでしょう。
もし、許認可の取得と創業融資の申込みを並行して行いたい場合は、許認可の申請書類の写しを提出するようにします。ただし、許認可を取得できるまでは融資を受けることはできず、許認可が取得できなかった場合は融資の取り消しが行われるため注意が必要です。
信用情報に問題がある
クレジットカードや奨学金をはじめとするローンの返済が滞っている場合なども、融資審査に落ちる原因となり得ます。ほかにも、税金や公共料金の支払い遅延にも注意しなければなりません。なぜなら、支払いの遅延や滞納は「滞りなく返済されない可能性がある」と判断される要因となるためです。創業融資を申し込む前に、支払いの滞納などは解消しておきましょう。
信用情報を確認したい場合は、株式会社CICにて情報開示請求が可能です。CICに加盟している情報のみの確認ではあるものの、自身の信用情報を確認するうえでのひとつの指標になるといえます。
融資希望額が見合っていない
融資希望額が自身の事業に見合っていない場合も、審査に落ちる理由となる可能性があります。創業融資「新規開業資金」の融資限度額は7,200万円(内、運転資金は4,800万円)とされているものの、融資限度額を目一杯借り入れられるわけではないためです。融資として希望できる金額は、あくまで返済できる範囲であることを理解しておきましょう。従って、融資希望額が見合っていないと判断される以下に該当する場合は、融資審査に落ちる可能性があると考えられます。
・自己資金額が少ない
・資金用途と希望融資額が一致していない
・事業計画などで予想されている収支では、返済できない融資額を希望している
また、融資の使用用途が事業規模に見合っているかどうかも重要です。たとえば、営業車に高級車を使用したり、従業員数などから導き出される生産数よりも過剰な生産が可能である機械を導入したりすることなどが該当します。創業融資は、あくまで事業を始めるためや事業開始後に必要となる資金を補うものです。事業拡大後に備えた機械などを購入するために充てる資金ではないことを理解しましょう。
面談でしっかりと説明ができなかった
しっかりとした事業計画書を用意していたとしても、自分の言葉で伝えられなかったり質問に答えられなかったりした場合は融資審査に落ちることがあります。とくに注意すべきは、認定支援機関資格を取得している専門家をはじめとする第三者に、事業計画書の作成サポートなどを依頼した場合です。第三者に依頼することは、客観的にみて説得力のある資料を作成するうえで有効ですが、融資希望者が理解して自分の言葉で説明できなければ意味がありません。少なくとも事業計画の背景となる根拠などは、自分の言葉で説明できるようにまとめておくとよいでしょう。
審査に落ちた場合の対処方法
審査に落ちた場合、落ちた原因を分析して正しい対処方法をとることで、再申込み時に融資成功を得られる可能性があります。とはいえ、融資審査は総合的に判断されるため、一部のみを改善すればよいというわけではありません。紹介する対処方法を参考にして、全体的に見直すことをおすすめします。
認定支援機関を利用するなどして事業計画を見直す
日本政策金融公庫の創業融資では、事業計画が審査の可否に大きな影響を与えます。面接での担当者とのやり取りを思い返しながら、事業計画の妥当性や正確性を見直しましょう。場合によっては、第三者からの意見が有効となることも考えられます。以下は、事業計画の見直しや経営に関するアドバイスが受けられる機関です。
・日本政策金融公庫の「創業前支援」窓口
・認定経営革新等支援機関
認定経営革新等支援機関(認定支援機関)とは、中小企業や小規模事業者に対して経営のアドバイスを行う機関です。国からの認定を受けており、事業計画の策定や資金調達などのサポートを行います。自身の事業に対する実績数が多い認定支援機関に依頼することで、事業計画の正確性が高まるでしょう。
また、認定経営革新等支援機関は全国に多数あります。中小企業庁のサイトで、認定支援機関を検索することが可能です。選ぶ際は、以下のポイントを重視して探すことをおすすめします。
・自身の事業に対する実績数が豊富であるか
・依頼料が明確であり、高すぎたり安すぎたりしないか
依頼料が明確でない場合、高額な料金が請求される恐れがあります。追加料金や成功報酬の有無を確認するなどして、納得できる認定支援機関を選ぶとよいです。
自己資金額を増やす
融資希望額を引き下げたくない場合は、自己資金額を増やすことを検討するとよいです。自己資金額を増やす方法として、以下があげられます。
・自己資金化できるものを売却して資金にする
・車や不動産などの資金を現物出資として申告する
・副業やアルバイトなどで資金を稼ぐ
・知人や親族などから出資してもらう
・クラウドファンディングを行う
・自治体の補助金や助成金を活用する
知人や親族に出資してもらう場合は、「見せ金」と判断されないように注意が必要です。出資してくれた人が事業協力者であることや、返済義務のないお金であることを証明できるようにしましょう。また、出資ではなく支援としてお金をもらう場合は、贈与契約書を用意するとよいです。金額によっては贈与税が発生する恐れがあるため、贈与額にも配慮するようにします。
信用情報を改善する
創業融資を改めて申し込む場合は、滞納を解消したうえで申し込むようにします。ただし、CICに登録される情報には以下の保有期間があるため注意が必要です。
・クレジットカード情報:延滞解消日から5年以内
・協会依頼情報:情報登録日より5年以内
保有期間が定められているため、申込み前に滞納を解消していた場合でも融資審査に響く可能性があります。もし支払い遅れや滞納があるのであれば、できるだけ早く対処しておくとよいでしょう。
別の方法で創業資金を調達する
日本政策金融公庫の創業融資ではなく、別の方法で創業資金を調達することもひとつの手だといえます。以下は、利用されることが多い創業資金の調達方法です。
・自治体の創業者向け補助金や助成金などを利用する
・民間金融機関の保証付き融資やビジネスローンを利用する
・制度融資を利用して民間金融機関から融資を受ける
制度融資とは、自治体・民間金融機関・信用保証協会が連携して融資を行う制度のことです。制度融資を受けるには、自治体で定められた条件を満たしたり申請に時間や手間がかかったりしますが、信用保証協会の保証を受けられるため、融資審査が通りやすくなります。さらに、自治体が利息の一部を補填してくれる場合があるので、返済負担の軽減も期待できるでしょう。ただし、申込みから融資実行までに3か月程の時間がかかります。
まとめ
日本政策金融公庫の創業融資は、低金利・固定金利と返済負担の少ない特徴があります。また、日本政策金融公庫は創業融資に前向きです。小規模事業主や個人事業主であっても、審査の通りやすさは法人と変わりません。とはいえ、誰もが創業融資を受けられるわけではなく、将来性のある事業であることが重要です。事業の将来性や返済能力を証明するためにも、認定支援機関などの利用を検討したり根拠となるデータを作成したりして融資審査に挑みましょう。
※参考サイトにコロナの追加融資について記載がありましたが、創業融資の対象事業者はコロナ融資を受ける条件を満たさないため除外しています。