日本政策金融公庫の新創業融資制度の審査基準について
新創業融資制度の審査基準5つのポイント
自己資金の割合
新創業融資制度の審査のポイントの最初は自己資金の割合です。
創業資金総額の中の自己資金の割合を「自己資金割合」といいます。
借り入れたい資金に対する自己資金の割合ではありません。
例にすると、創業資金が2,000万円・自己資金が400万円の場合の借入たい希望の融資額は
2,000万円−400万円=1,600万円となります。
このような時は自己資金割合は計算すると2割になります。400万円÷1,600万円=2.5割と計算してしまいがちなのでご注意ください。
創業融資の中には自己資金がなくても融資の審査を通過することもありますが、おおよそ3割程度の創業資金の中に自己資金を持っておくべきでしょう。
また、自己資金の割合は多ければ多いほど融資の審査では有利に働きます。
しかし、融資の審査前に突然に自己資金が増えたように見えると、融資審査を通過するためだけの「見せ金」に思われてしまう場合がありますので気をつけてください。自己資金は事業に使うべき資金です。
資金の使い道
創業融資の次の審査基準としては、資金の使い道です。資金の使い道が不明瞭のままですと融資の資金を減らされたり、審査に通過しなかったりする場合があります。
資金の使い道を明らかにするためには、使い道を証明するため書類をできるだけたくさん用意しましょう。例えば
- 創業計画書
- 賃貸物件の資料
- 設備資金の見積書
- 設備資金の見積書
- 工事請負の契約書
- 資金繰りの表
などです。
創業融資を通過するための審査では、資金の使い道を明らかにして証明することが必要です。書類だけを用意して終わりではなく、下記の4つのポイントについて数値を明瞭にしておきましょう。
- 創業時の初期投資としてはどんなものにどれくらいの資金が必要なのか
- ターゲット、商品、価格はどのように決めるのか
- 仕入れ価格と仕入れ先はどのように決めるのか
- 諸経費はどのくらい必要なのか
返済時の見込み
新創業融資制度の審査のポイントの3つ目は返済時の見込みです。返済の見込みのない人に創業融資を受けられないことは明らかです。
つまり、創業融資の審査では借入金をちゃんと返済することができるかどうかを審査します。
例えば、クレジットカードの利用明細や預金通帳の中から、下記4つを確認されます
- 税金の未払いがないか
- 公共料金の滞納、未払いがないか
- ローンの滞納、未払いがないか
- リボ払いやカードローンの利用が多くないか
新創業融資制度をおこなっている日本政策金融公庫は公的な機関です。税金や公共料金をきちんと収めていないと融資を受けることができません。
一方、創業融資を受ける前にはリボ払いやカードローンがないようにしてください。
事業の経験
新創業融資制度の審査のポイントの4つ目は創業する事業の経験です。一般的な融資は会社の実績を元にして融資を通過するかが決まります。しかし、新しく起業する人には実績が何もありません。
そのため、新しく起業する事業の経験があるかどうかが、創業融資の審査でのポイントになります。例えば、以下のような事業経験があるとアピールポイントになります。
- 新しく起業する事業と同業の会社に勤めている
- 新しく起業する事業と同業の会社に長く勤めていた
- 新しく起業する事業の職種が大学や大学院などで習得した技能と関連している職種で現在その職種の仕事をしている
これまでの経験をもっと強くアピールしたいのであれば職務経歴書を用意してください。職務経歴書を用意しておくと、審査担当者に具体的にこれまでの経験を伝えることができます。商品・サービスと同等に自分も売り込めるようにたくさんアピールしましょう。
融資審査の面談
新創業融資制度の審査のポイントの最後は融資審査の面談です。面談は日本政策金融公庫の新創業融資では絶対に必要です。必要な書類を用意して事前に面談の練習をきちんとおこないましょう。
起業する事業の内容によって店舗や事務所、工場などを訪れる場合もあります。それらの説明もしっかりとする必要があるので事前に準備しておきましょう。
面談の細かい内容や新創業融資の不明点などは、税理士などに事前に問い合わせて相談しておきましょう。
新創業融資を審査通過させるためのポイント
ここからは、新創業融資の審査を通過させるためのポイントについて以下で説明いたします。
自己資金の割合を増やす
自己資金が少ない場合には自分で少しづつ貯めるのが一番良いです。もし自分で貯めることができれば、それだけ意気込みと計画性の両方を持っていることがアピールできるからです。
創業までに時間がなく、少しづつ貯めるのが容易ではない場合には親族から贈与してもらうか、必要な創業資金を見直しましょう。もし、親族から支援してもらうのであれば、その親族の通帳が必要になりますので、きちんと説明しておきましょう。
自己資金の割合はおおよそ3割を目安にしてください。3割以上をすでに準備できていても、さらに増やすことで、もっと審査に通過しやすくなります。
資金繰り表を準備する
新創業融資の審査では資金の使い道を明らかにするために、創業計画書や見積書、契約書などを用意しなければなりませんが、資金繰りの表は必須ではありません。
でも、資金繰り表を準備しておくことでより資金の使い道を具体的に説明することができます。
そのために、新創業融資の審査を通過させる確率をあげるため、資金繰りの表をわかりやすく作成しておきましょう。表のフォーマットは日本政策金融公庫のサイトからダウンロードが可能です。
税金・公共料金・ローンの支払い延滞はしない
新創業融資の審査では返済計画がきちんと勧められる人かどうかを審査されます。
新創業融資審査の最低でも1年前くらいからは税金・公共料金・ローンをきちんと支払いしてください。
また、カードローンやリボ払いがまだ終わっていない人は、できるかぎり返済してください。カードローンやリボ払いについては多くの残高があると、創業融資をローンの返済にしてしまう可能性があると見られてしまいます。
事業の職務経験を積んで経歴書に記入する
審査では事業の職務経験が重要です。経験のない業種では、融資額が少なくなったり、融資が受けられなくなる場合もあります。
ですから、経験のない業種で創業をしたいのであれば、アルバイトでも構いませんので経験を少しでもしておきましょう。きちんと経験が詰めれば職務経歴書に詳細を記入できます。
まとめ
日本政策金融公庫では起業前の人でも融資を受けられるように新創業融資制度があります。ポイントさえしっかりと対応し、綿密な準備をしていれば新創業融資制度は他の融資と比べて借りやすいです。
そうはいっても、初めての方は申込のコツもわからず不安になる部分もあると思います。
そういう方は、専門家に依頼して創業融資支援をしてもらうことも検討すると良いでしょう。